小澤靴店③ 素敵な靴が出来ました

地域の隠れた魅力をお届けする鳥蔵柳浅、今回は小澤靴店〔東京都台東区鳥越2-7-15〕でのオーダーメイドの靴づくり後半をお届けします。

【小澤靴店】その1:オーダーメイドの靴屋さん その2:幸せになれる靴を作ろう!  その3:素敵な靴が出来ました  その4:大切な靴にキズが!その5:乗馬靴の最高峰  その6:よみがえった素敵な靴

出来上がった靴の画像
【注文した靴が出来ました。】

前回では、小澤靴店さんのオーダーメイドの靴づくりを、うちの奥さんの場合を例にご紹介しました。

彼女は外反母趾で既製靴に合うものがまるでありませんので、小澤さんが作る「履いて痛くならない、疲れにくい」靴をお願いしたのです。

①足裏の形をとり、必要な部分を計測しました。

ここで、足の大きさに加えて、肉付きや甲の高さなど足の特徴を把握したうえで、計測データからお客様一人一人に合った靴の木型を作成します。

②足の特徴が分かれば、それに合うデザインの靴を選びます。

③足の特徴やデザインから、素材と色を決めます。今回は黒のラム革を選びました。

④デザインが決まったので、今度は靴底を選びます。

⑤これまで選んだものに合うヒールを決めます。

⑥靴の内側に入れるネームのスタイルを選びます。

これでオーダーする靴が決まりました。

オーダーにかかった時間はおよそ40分、小澤さんの足や靴のお話を聞きながらの楽しい時間でした。

足を計測する画像。
【小澤さんが足を計測しています。】

今回はこの続きからです。

⑦お客様の足の特徴を映した木型を製作します。

写真の木型は、外反母趾の女性のものを見本に見せてもらいました。

外反母趾の方の靴の木型の画像。
【外反母趾の方の靴の木型。親指の付け根部分が大きく出ています。】

うちの奥さんの場合は、外反母趾で突き出た部分を革で厚みを足すほかは、ひたすら木型を削って作成したそうです。

⑧木型を使って靴の型紙を作ります。

この型紙があれば次回以降も同じ靴を注文できるので、小澤さんが保管してくださいます。

型紙を比べてみると、やはり左右で大きさが異なっていました。

⑨型紙に合わせて革をカットします(写真)。

出来上がった靴の上半の画像。
【カットした材料を縫い合わせた段階。すでにいい感じです。】

⑩カットした革は、材料に合わせて板ガラスを割って作ったスクレイパーで表面を削って調整します。

これは、失われつつある特殊な技術だそうで、仕上がりがかなり良くなるのだそうです。

⑪カットした革を縫い合わせていきます。

現代の既製品の靴は、この工程を機械で接着することで一瞬で終わらせますが、縫い合わせることで強さとしなやかさが生まれます。

そして木型に底革(内側、底革は二重になっているようです)を打ち付けて、上からカットした革をかぶせます(写真)。

そして底革とカットした革を5ミリ間隔程度でぐるりと一周縫い合わせます。

ここで接着材を使はないのは前にも述べたところです。

この密な縫い目がゆるんだり締まったりすることで、靴がひとりでに足にピッタリと合っていくそうです。

製作途中の靴を木型に合わせた画像。
【製作途中の靴を木型に合わせます。木型の其処に固定した底革にこれから縫い付けていきます。】

⑫木型に入れた状態で一晩程度置いておきます。

この工程を加えることで、足にしっくりとなじむ靴に仕上がる大切な工程だそうです。

⑬内張りをして内面を調整し、前述のガラススクレイパーで角を取り、底板を調整したうえで、底革を縫い着けます。

革底の場合だと、外側の底革を縫い合わせて仕上げますが、彼女の場合はゴム底を貼り付けます。

靴を依頼人に合わせて微調整する画像。
【出来上がった靴を依頼人の足に合わせます。まずは座って。】
出来上がった靴を立った状態の依頼人の足に合わせ微調整する画像
【出来上がった靴を、今度は立った状態で合わせます。体重の係り具合などで足の形は変わるそうで、座った状態と立った状態の両方で合わせる必要があるそうです。】

⑭ここで、依頼人が再び来店して靴を合わせます(写真)。

微調整して完成です。

この後、彼女の場合は尾錠の穴の位置を決めて、ひもの長さを確認する作業を行いました。

尾錠に穴をあけて靴を仕上げる画像。
【尾錠の穴をあけて靴を仕上げる小澤さん。】

⑮最後に、もう一度足を計測します(写真)。

型紙と合わせて、靴が出来上がるまでの期間に、足がどう変化したのかを調べる大切な工程だそうです。

彼女の場合、なんと1/4サイズ足が小さくなっていました。

これくらいの変化だと、縫い目などがゆるんだり締まったりして自然に調整してくれるそうです。

最後にも一度足を計測する画像。
【最後に改めて足を計測します。この工程をするところはほとんどなくなったそうですが、とても大切なんだそうです。】

⑯靴のお手入れなどについて教えてくれます。

出来上がった靴は、木型の構造上かかとの部分が少し細く仕上がるのですが、しばらく履くと体温で自然に体に合った形になるとのことでした。

また、彼女の場合、足が小さくなったので初めのうちは少しぶかぶかするかもしれないが、これもすぐに収まるだろうということでした。

そしてさっそく、出来上がった靴を履いて歩いてみました。

初めのうちはかかと部分が少し窮屈で、全体も軽くぶかぶかした感じがしたそうですが、10分ほど歩いたところで、靴が足にピタっと合うのがわかったそうです。

これはある意味快感だったとも言っていました。

出来上がった靴を正面から見た画像。
【出来上がった靴を正面から。】

ここで残念なお知らせです。

必要な材料が手に入らなくなったことが原因で、小澤靴店では婦人靴の注文が受けられないそうです。

ただし婦人靴の中でも、チロリアンや紐靴などしっかりしたデザインのものは紳士靴と同じ材料なので注文できます!

そのほかの婦人靴も、材料が入手できれば製作を再開するつもりとのこと、なんとか婦人靴の製作再開を祈らずにはおれません。

今回は婦人靴についてみてみましたが、紳士靴も婦人靴と材料は異なりますが作り方は同じとのことでした。

もいろん紳士靴の方は注文できますが、人気があるので半年近く待たないといけないようです。

小澤靴店の外観の画像。
【小澤靴店の外観です。鳥越の町の一画にあります。】

小澤さんが作った靴は修理が効くのでとても長持ちします。

よい物を大切に使いたい方はぜひ一度、小澤靴店をのぞいてみてください。

【小澤靴店】その1:オーダーメイドの靴屋さん その2:幸せになれる靴を作ろう!  その3:素敵な靴が出来ました   その4:大切な靴にキズが!その5:乗馬靴の最高峰  その6:よみがえった素敵な靴

この町には素晴らしいものを作る方、最上の技術を持つ方が多くいらっしゃいます。

例えば、和菓子団扇や茶筒、革製品、クルミボタン、写真、日本刀研磨などなどです。鳥蔵柳浅では、これらの方々を応援しています。

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