下町っ子祭り 台東区の巨大文化祭

地域の隠れた魅力をお届けする鳥蔵柳浅、今回は「青少年フェスティバル 下町っ子祭り」通称「下町っ子祭り」をご紹介します。

たくさんの人で賑わう「下町っ子祭り」の会場画像。
【たくさんの人で賑わう「下町っ子祭り」の会場。】

下町っ子祭はどんなお祭り?

「下町っ子祭り」は台東区青少年育成地区委員会連合会と台東区(担当:区民部子育て・若者支援課)が主催、東京都が共催する、地域の子供たちを主役にしたお祭りです。

毎年9月10日前後の日曜日に恩賜上野公園の野外ステージ(上野不忍池水上音楽堂)とその周辺(桜通り一帯)で開催されています。

2002年から始まったこのイベントは、夏休みの成果を発表する場として たくさんの来場者が集まるイベントへと成長しました。

野外音楽堂での発表の画像
【野外音楽堂での発表。地域の子供たちが夏休みの練習成果を披露します。】

下町っ子祭りでは何があるの?

下町っ子祭りは、野外ステージでの舞台発表と、桜通り一帯のブースのエリアに分かかれています。

まず野外ステージでは、地域の中・高生の部活動や同好会による発表が行われます。

演目は、吹奏楽、和太鼓、三味線、ウクレレなどの演奏と、ダンスなどの演技披露というように 多岐にわたる内容で、子供たちの日々の努力の成果が発揮されていました。

たくさんのブースが並ぶ画像。
【たくさんのブースが並んでいます。
夏の日差しの中、多くの人で賑わっています。】

また、野外音楽堂から下町風俗資料館までの桜通り一帯では、地域の中学校(6校)をはじめとして、青少年育成地区委員会(17委員会)、上野警察署や上野消防署など、約30のブースが並んでいます。

これらのブースでは、かき氷やラムネ、焼きそば、ホットドックなどの飲食関連と、ヨーヨー釣りや射的、スマートボール、スーパーボールすくいなどのアトラクションが並んでいます。

いずれのブースも地域の方々や中・高生による手作り感あふれるもので、それぞれ工夫を凝らして楽しめる内容になっていました。

さらにうれしいのは、どのブースもきわめてお手頃価格で楽しめるものになっているのです!

数多くあるブースの中で異彩を放っていたのが、私立岩倉高校によるミニSLです。

大部分が高校生による手作り、10年をかけて完成したミニSLは本格的で大いに人気を博していました。

夏休みの終わりごろには、鳥越おかず横丁でも試乗会を実施されているのでご覧になった方もおられるかもしれません。

このように桜通り会場では、残暑に負けない子供たちの元気な姿が印象に残っています。

台東区青少年地区委員会とは?

ここで、このお祭りを主宰している台東区青少年地区委員会について少し見てみましょう。

青少年委員会とは、青少年の健全な育成を図ることを目的として、東京都が独自に導入した制度に基づいて設置したもので、市区町村の教育委員会に所属する機関なのです。

さらに、行政と地域のつなぎ役となることを期待される組織でもあります。

名称は地域によって異なりますが、これに類する制度は全国各地にありますので耳にした方も居られるのではないでしょうか。

委員は「地域住民の中から青少年の教育指導に能力のある人に委嘱され」ていますが、委員のみなさんは身分上は特別職地方公務員であるものの非常勤で、ボランティア的側面が強い役職です。(台東区HPによる)

台東区内には現在11の地区委員会(竹町、東上野、上野、入谷、金杉、谷中、浅草橋、浅草寿、雷門、馬道、清川)は、1991・2002年に実施された台東区の中学校統廃合前の中学校11校に対応して設置されました。

ちなみに統廃合の結果は、御徒町台東、柏葉、上野、浅草、桜橋、駒形、忍岡の7校となっています。

また台東区では、少し似た組織としてコミュニティー委員会(台東区内で17委員会)がありますが、こちらは小学校をベースに、施設を維持管理して地域のために活用することを目的にしています。

会場から不忍池弁天堂と上野の山を望む画像。
【会場は不忍池のほとり、弁天堂と上野の山が望めます。】

下町っ子祭りに託された想いとは?

「下町っ子祭り」が始まった2002年は、台東区において児童減少が続く中で地域の中学校の統廃合が行われた年です。

これは、戦後に中学校を核として、行政と地域が一体となって築き上げた絆が失われる危機に瀕した時でもありました。

そんな中で、このお祭りは参加を希望した多くの中学生たちと地域の方々が一緒に活動することで、過去に築き上げた絆を護るだけでなく、新しく誕生した中学校の生徒たちと地域をつないで新たな絆を生むという貴重な成果を上げています。

こうして現在では、地域の中学校の大きな文化祭ともいえるイベントにまで成長してるのです。

下町っ子祭り来場者へのお土産の画像。
【下町っ子祭り来場者へのお土産。プログラム、簡易団扇、冷感タオルとウェットティッシュ。】

また、文化教育の盛んな台東区では、11月に浅草公会堂で「台東区立中学校連合音楽会」、2月に上野の東京都美術館で「台東区小中学校連合作品展」が開催されて、中学生たちの文化教育の成果が発表されます。

さらに、「下町っ子祭り」が開催される日は、東京藝術大学の学園祭「蓺祭」が行われる日でもあります。

この日は、上野の山が蓺大生によるパフォーマンスで一日中大いに盛り上がりますので、こちらにも足を延ばしてみるのも面白いでしょう。

そして蓺祭の良い影響が地域の中・高生に及んで、クリエイティブな空気が広がっているのも、大変うれしいところです。

ベビーカーで来場したお客の画像。
【下町っ子祭りはお年寄りから小さな子供まで楽しめる、地域みんなの文化祭です。】

開催日は暑い日が多くなっていますが、子供たちの成長を見に、みなさんも「下町っ子祭り」にぜひ足を運んでみてください。

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