小澤靴店 その②  幸せになれる靴を作ろう!

地域の隠れた魅力を紹介する鳥蔵柳浅、今回は引き続いて小澤靴店〔東京都台東区鳥越2-7-15〕。 【小澤靴店】その1:オーダーメイドの靴屋さん その2:幸せになれる靴を作ろう!  その3:素敵な靴が出来ました その4:大切な靴にキズが! その5:乗馬靴の最高峰 その6:よみがえった素敵な靴 

小澤靴店さんのオーダーメイドの靴づくりを、うちの奥さんの場合を例にご紹介します。

彼女は外反母趾で既製靴品に合うものがまるでありません。

そこで、小澤さんが作る「履いて痛くならない、疲れにくい」靴をお願いしました。

①まず、足裏の形をとります(写真)。

それから必要な部分を計測します(写真)。

これを、左右の両方の足で行いました。

というのも、足は右と左で微妙に大きさや形が異なっているからです(写真)。

奥さんの場合は、左足が右足より3ミリ大きいと初めて気付きました。

ここで、足の大きさに加えて、肉付きや甲の高さなど足の特徴を把握します。

注文客の足の平面形を測る小澤さん。
【足の形を測定して記録します。
時間によっても足の大きさが変わるそうで、長年の経験を生かして細かな特徴も見逃しません。
小澤さん曰く、「足はみんな違ってるんだ。左右でも、時間によってもちがいがでてくるから不思議だね。足にはその人の暮らしだけじゃなくって、その人の人生まで見えてくるように思う。だからこそ、丁寧に正確にしないとね。」】
注文する人の足の甲の高さと足の厚みを測る小澤さん。
【足の甲の高さや足の厚みなど、細かく計測します。
これがお客様一人一人に合った靴の木型作成に繋がります。
「足の特徴を正確に知らないと、足に優しい靴はできないんだよ。」と小澤さん。】

②足の特徴が分かれば、それに合うデザインの靴を選びます。

デザインは気に入れば何でもよいというものではなく、その人の足に合うデザインはある程度限られてくるそうです。

今回は小澤さんが製作した過去の製品から気に入ったデザインを選びました。

靴に使う黒色のラム革です。柔らかくて肌触りがよく、独特の光沢があります。
【靴に使う黒のラム革。柔らかく肌触りもよかったです。また、かなり丈夫なんだそうです。】

③足の特徴から素材と色を決めます。

今回は黒のラム革(写真)を選びました。

④デザインが決まったので、今度は靴底を選びます。

革だと歩くときに音が心地よく響くそうですが、今回は歩きやすさを優先して厚めのゴム底に決めました。

⑤ヒールを決めます。

ヒールは足の特徴、素材、靴底と決まったので、これらと組み合わせて歩きやすい大きさと高さのものを選びます。

靴の内側に入れるネームを選ぶ光景です。小澤さんが見本を見せています。
【靴の内側に入れるネームを選んでいます。
靴を脱いで上がった時に、きらりと違いが光るのだそうです。
これこそが、江戸前のおしゃれですね。】

⑥靴の内側に入れるネームを選びます。(写真)

これでオーダーする靴が決まりました。

オーダーにかかった時間はおよそ40分、小澤さんの足や靴のお話を聞きながらの楽しい時間でした。

小澤靴店の料金表。紳士靴は国産牛革で92,000円から、婦人靴ラム革で82,000円から、注文時に半額を内金として納めます。
【店内の料金表、かなりざっくりしています。特別な形や構造、素材のものをお願いすると追加料金がいる事もありますが、余程変わったものでない限り、ほとんど基本料金とおりなようです。
デパートで似たものを頼むよりもかなり安いのだと知り合いの常連女性が言ってました。
なお、価格は2019年時点です。】

料金は、婦人靴は82,000円(オーダー内容によって追加料金がかかる場合があります)、紳士靴92,000円(婦人靴と同じ)などとなっており、注文時に半金を納めてオーダー終了です。

ちなみに、乗馬靴も注文できますが、これが美しくて感動モノです。

ここからは手順の説明です。

⑦お客様の足の特徴を映した木型を製作します。

写真の木型は、外反母趾の女性のものです。

外反母趾の人の木型。足の形が左右で大きく違います。足の甲が飛び出しています。
【外反母趾の女性の木型。親指の付け根がかなり出っ張って痛そうです。
この方は、小澤さんに三年間で10足も注文するほど気に入られているそうです。】

⑧木型を使って靴の型紙を作ります。

型紙があれば同じ靴を注文できるので、小澤さんが保管してくださいます。

⑨型紙に合わせて革をカットします。

⑩カットした革は、材料に合わせて板ガラスを割って作ったスクレイパーで表面を削って調整します(写真)。

これは、失われつつある特殊な技術だそうです。

革をガラス片で削る技を見せてくれる小澤さん。
【一回ずつ加工部分の形に合わせたスクレイパーを、板ガラスを割って作ります。
こうすると、接着が強まるのみならず、足が当たった感触まで良くなるそうです。】

⑪カットした革を縫い合わせていきます。

現代の既製品の靴は、この工程を機械で接着して一瞬で終わらせますが、縫い合わせることで強さやしなやかさが生まれます。

⑫内張りをして内面を調整し、前述のガラススクレイパーで角を取り、外面を磨いて完成です。

完成した靴は修理が効くのでとても長持ちします。

小澤さんの経験で一番長いものは約50年間使ったものがあるそうです。

うちの奥様の靴ですが、出来上がりは三か月後の8月予定です。

出来上がったらまたご報告しますので楽しみにお待ちください。

みなさんも靴の匠が作り上げる逸品で、足元から暮らしを変えてみませんか?

【小澤靴店】その1:オーダーメイドの靴屋さん その2:幸せになれる靴を作ろう!  その3:素敵な靴が出来ました   その4:大切な靴にキズが!  その5:乗馬靴の最高峰  その6:よみがえった素敵な靴

 この町には素晴らしいものを作る方、最上の技術を持つ方が多くいらっしゃいます。

例えば、和菓子豆菓子佃煮、畳、団扇や茶筒、革製品革靴、クルミボタン、シャツ写真日本刀研磨などです。

鳥蔵柳浅では、町の匠たちを応援しています。

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