ここまで見てきたように、京都や東京で用途に合わせて様々な扇子が作られています。
まさに日本文化に欠かせないアイテムと言える扇子ですが、紙と竹でどうやってあれほど複雑なものが出来るのでしょうか?
この扇子を、前回はどこで、誰が作っているのかを見てきました。
いよいよ今回は、扇子を作る手順を具体的に見ていきたいと思います。
【松根屋 目次】その1:松根屋とは? / その2:創業105周年 /その3:素敵な団扇を作ってみよう! / その4:扇子ってなに?⦅扇子の話①⦆ / その5:扇子って何に使うの?⦅扇子の話②⦆ / その6:扇子はどこで作る?⦅扇子の話③⦆ / その7:扇子はどうやって作る?⦅扇子の話④⦆ / その8:戦いに使う扇子⦅扇子の話⑤⦆
とにかく手間のかかる扇子作り。
『マンガものしり講座 よくわかる京扇子・京うちわ』で紹介されている京扇子製作工程について見てみましょう。
Ⅰ扇骨〔扇子の骨の部分〕作り
まずは扇子を形作っている扇骨を作ります。(9工程)
①割った竹を薄く削って厚みを整える➝➝
②目穴〔骨を束ねる穴〕を舞錐で空ける➝➝
③目串を通した状態でニ~三日水につけて柔らかくする➝➝
④脇かきという包丁で削って骨の形を整える➝➝
⑤あてつけ〔扇骨をまとめて削って形を作る〕➝➝
⑥竹の青みを取るために天日干しする➝➝
⑦猪の牙でできた「猪牙(いのき)」でこすって磨く➝【必要であれば、漆塗りや彫刻を施します】➝
⑧要(かなめ)〔骨を束ねる部分〕を打ちます➝➝
⑨地紙の中に入れる中骨をさらに薄く削る
☆☆扇骨完成!☆☆
Ⅱ地紙(じがみ)加工
次に、扇子の機能を支える地紙部分を作ります。(③工程)
⑩芯紙の両側に皮紙を貼って三枚の和紙を合わせた「合わせ地」を作る➝➝
⑪型に充てて扇形にカットする➝➝
⑫「加飾加工」を施す 【デザインによって、「箔押し」〔扇面に金や銀の箔を貼る〕したり、上絵を描いたり、「かすみ」「色引き」「はん木つき」「かた摺り」「手描き」など、いろいろな技術を組み合わせて扇面を仕上げます】
☆☆地紙完成!☆☆
Ⅲ 折り加工
地紙を扇骨と一体化させるために、下準備をします。(7工程)
⑬口開け〔地紙の芯紙部分の真中を竹べらで割って、骨を入れる空間を作る〕➝➝
⑭湿らせた地紙を折り型に挟んで地紙に山部分と谷部分を作る➝➝
⑮端から順に折っていく➝➝
⑯何枚か重ねて拍子木で形を整える➝➝
⑰湿気が残っているうちに木枠に入れて数時間、その後 枠から取り出して乾燥させる➝【折り加工では、描かれた絵を仕上げた際に一番美しい状態になるようにするのがポイント】➝
⑱中差し〔骨の入る穴を一つづつ空けていく〕➝➝
⑲拍子木で形を整えて、万切り包丁で決められた大きさに切る
☆☆折り加工終了!☆☆
Ⅳ 仕上げ
扇骨に地紙をつけて仕上げます。(6工程)
⑳地吹き〔中差しで空けた穴に息を吹き込んで広げる〕➝➝
㉑中附け〔開いた穴に糊をひいた中骨を差し込む〕➝➝
㉒十分ほど乾かした後に、形を整えて拍子木でこなして 親切り〔扇骨外側の親骨を切りそろえる〕➝➝
㉓万力かけ〔万力に一晩かけて骨と紙を密着させて、折り目を正しくします〕➝➝
㉔親だめ〔温めた親骨を曲げる〕【親骨を内側に少し曲げることで、仕上げた扇子を閉じたときの締まりを作るとともに、閉じたときにパチンッと良い音がするようにします】➝➝
㉕親骨を貼って乾かすと 完成!!
☆☆完成!☆☆
ここまで見てきたように、気が遠くなるような手間ひまをかけて扇子が出来上がります。
扇子はたくさんの職人技が詰まった芸術品なのです。
ここまで見てきたように、日本の歴史と風土に合わせて進化を遂げてきた扇子は、用途にあわせて実に多種多様なものが生み出されてきました。
その大半を、扇子と団扇の専門店・松根屋 〔東京都台東区浅草橋2‐1‐10〕 では取扱っています。
みなさんも ぜひ一度、日本文化の粋・扇子をみにきてください。
松根屋ホームページ https://matsuneya.jp/ (外部リンク)
次回では、扇子の中でも特殊な、戦に使う扇子の数々を見ていきたいと思います。
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