【柏屋】①アキバの老舗せんべい屋 / ②町の宝・老舗せんべい屋
お店の佇まいも一見の価値あり、昔ながらのせんべいやあられの文化財級ですが、私が思う柏屋さんの一番の魅力はおかみさんのお人柄です。
陽気で気さくなおかみさんのお話を聞いていると、時が経つのを忘れてしまうほど。
以下ではおかみさんのお話をみてみましょう。
かつて巨人軍の長嶋茂さんが現役の頃、柏屋さんのおかきが大のお気に入りだったそうです。
もともと巨人軍の球団幹部が柏屋さんのファンだったこともあり、巨人軍の宮崎キャンプと東京ドーム開幕戦時には、一斗缶でおかきやあられを届けたのだとか。
その影響でプロ野球選手のファンが多く、上原浩治選手(巨人➝オリオールズなど)や松坂大輔選手(西武➝レッドソックスなど➝中日➝西武)も渡米前には来店したのだそうです。
なかでもおかみさん一番の思い出は、松坂大輔選手。
近くの銀行でおろしたお金を入れた銀行の袋をぶらぶらと手に持った松坂選手、がらりと引き戸を開けて明るい声で一番、「おばちゃんいる?」
おかみさんが「あんた、そんな銀行の袋ぶらぶらさせてちゃいけないよ、不用心じゃない」というと、「俺の事あんたって言うの、おかみさんくらいだよ!」と人懐っこい笑顔を満面に浮かべていたのが忘れられないそうです。
さすがは平成の怪物、みんなに愛されています。
病気の話や昔の生活の知恵など、いろいろとお話しくださったのですが、私が一番驚いたのが柳橋とのかかわりです。
かつて川開きが両国橋近くで行われていた頃(昭和30年頃)のことです。当時、柏屋さんの品物を老舗料亭の柳水亭が使っていました。
お客さんのお茶請けやおつまみ、お土産にと、川開きの一日分で ものすごい量を発注してくれました。
しかし、そのかわりに柏屋総出で花火見物用桟敷設置などの準備を手伝わないといけなかったんだとか。
それで準備が終われば、「ごくろうさん、はいさよなら」となって花火は音だけ聞く感じだったそうです。
柳橋料亭の上からの姿勢にも驚きですが、区境を超えてまで手伝いにでていたのにびっくりしました。
女将さん曰く「むかしはそんなもんだったよ。柳橋はとにかくすごくって、なにかと手伝いに行ったもんだし、川開きは特にこの辺みんなが手伝いに出てた」
すごい柳橋はちょっと行きづらい街でもあったそうで、そのせいか最近は全く行くことがなくなったとも。
「よく考えたら、ものすごく近いんだけどね」
確かにそうです。
女将さんと常連女性の三人で話す間にも、外国人旅行客など多くの方が柏屋の写真を撮っています。
お店の佇まいも確かに魅力的ですが、もっと素晴らしいのはこのせんべいとおかみさんお人柄、ここに触れるともっと面白いのに残念です。
最近は周りで再開発のビックプロジェクトがあるそうで、また町の様子が変わっていくのかもしれません。
そんな中でも、できれば柏屋さんは今のまま残ってほしいと、げんこつの固さに苦戦する下の娘を見ながら しみじみと思うのでした。
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