ゲーム大国の原点! 百人一首かるたの遊び方 

あなたは百人一首かるたで源平をしますか? それとも坊主めくり?

前回見たように、日本は世界で有数のカード王国、百人一首カルタや花札、トランプから、近年ブームのカードファイトまで、多種多様なカードが楽しまれています。

このカード王国の礎となったのが百人一首カルタ、実に様々なゲームが開発されてきたのです。

今回は、百人一首かるたを使った様々なゲームを見ていきたいと思います。

百人一首大会 目次①百人一首の歴史②百人一首かるたの遊び方③浅草中学の百人一首大会

「百人一首」カルタは、共通のものであるカードを撒き並べ、誰が多くカードを取るかを競うゲームです。

豊原周延「千代田之大奥 かるた」1895 メトロポリタン美術館の画像
【豊原周延「千代田之大奥 かるた」1895 メトロポリタン美術館】

黒川道祐『雍州府志』(貞享元年(1684))には上の句を並べその中央に下の句の札を積み、それをめくって出た下の句と合う上の句の札を取る、という方法が記されています。

これは「百人一首」の前進となった遊戯「貝覆」と同じ遊び方で、現代のように下の句を読むやり方ではありません。

一方で、井原西鶴『西鶴織留』(元禄7年(1694))には「一人の美女は左の方の耳うとく、相手になってうたがるた取る事さへならず」とあることから、この頃すでに、上の句を読んで下の句の札を取るという競技も行われていたことが確認できます。

百人一首かるたの〈源平〉をする様子の画像。
【百人一首かるたの〈源平〉をする様子。】

「百人一首」カルタの競技方法を、長くなりますが『日本全国児童遊戯法』(大田才次郎編 明治34年(1901))でより具体的に見てみましょう。

「普通〈散らし〉〈お分け〉の二種ありて、〈散らし〉は数の多く取れし者を勝ちとし、〈お分け〉は総数の骨牌を人員に等分し、〈お伏せ〉とて、その数枚を定めに因りて伏せ置き、もしその札に当たればお伏せ何枚とて他の札を次順の者若しくは〈源平〉なれば敵に送るなり。

又、〈お手付〉〈鼻毛抜き〉とて、他の所属にかかる札を抜きとるときは、定めの数だけ我札を送り、又鼻毛を抜き損じ他の骨牌に手を触るるときは、その者より定数の札を受け取らざるを得ず。

されば〈源平〉の二群に分るるときは、その席順を対等になし、我が群の骨牌を守る役と、鼻毛抜き専門となす役と、敵より来る鼻毛抜きを防御する役と担当者を選定し、勝敗を競う有様面白し」とあり、「百人一首」カルタを使った様々な遊びがあったことが分かります。

また、江戸幕府が終始「かるた博奕」を禁制したことから、「百人一首」カルタを博奕に使っていたことが分かります。

慶安のお触書では「前々より仰セ付ラレ候はくち、ほうびき、けんえんじかるた何ニ而も諸勝負堅仕ル間敷事」、「享保の改革」では「よみかるた打候者、三十日鎖」(享保16年「御仕置之事」)と、特に厳しく制限されています。

一方で、江戸っ子たちはこれに対抗して、新しいかるた遊びを次々と考案していいったのです。

その代表が「百人一首」を用いた競技法の「むべ山」で、明和年間(1764~72)頃に表れました。

これは下の句の札を各自に配りそれぞれの前に並べ上の句が読まれると伏せていき、早く全部伏せた者を勝ちという博戯で、隠し札や並べ方による報賞や、「雪、月、花、人、恋、乙女、むべ山」の役札があり、「むべ山風を嵐というらん」の札が最も高い役とされました。

百人一首カルタの画像。
【百人一首かるた】

ほかにも「百人一首」カルタを使った遊戯として「坊主めくり」というものがあります。

積んだ場札を順にめくって取り、坊主札が出ると取った札を出し、姫札が出ると他の出し札を取るというルールで、多くの札を集めたものが勝ちとなるゲームです。

この遊戯がいつごろ始まったかはよくわかっていませんが、これは歌を知らなくても、また人数に関係なく幼児でも楽しめるゲーム内容なので、「百人一首」カルタをより身近に感じさせるものとなっています。

宮川春汀「子供風俗 坊主起し」(1898)【部分】の画像。
【宮川春汀「子供風俗 坊主起し」1898【部分】】

このように、「百人一首」カルタは江戸時代から大変身近な存在でした。

前項で見たように、日本の伝統文化を楽しみながら学ぶことができる大切な遊戯なのです。

この文章を作成するにあたって以下の文献を参考にしました。(順不同敬称略)

国史大辞典編集委員会『国史大辞典 2』1980 吉川弘文館、㈶日本レクリエーション協会監修・増田靖弘編『遊びの大辞典』1989東京書籍、神崎宣武・白幡洋三郎・井上章一編『日本文化事典』2015丸善出版

【百人一首大会】①百人一首の歴史②百人一首かるたの遊び方③浅草中学の百人一首大会

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