昭和3年にできたばかりの清洲橋は、当時日本の技術力の象徴で、時代の最先端でした。
夕闇に包まれる巨大な橋に、昔ながらの小さな和船の対比させています。
この作品では、時代の最先端を象徴する巨大な橋はとても力強く印象的に描いています。
一方、橋とは対照的な小さな舟では、たき火がなんだかとっても温かそうです。
暮れなずむ空の色や水面に映る橋の表現は見事で、巴水の卓越した技術がうかがえます。
ちなみに、「清洲」の名ですが、両岸が当時は深川区清澄町(現在の江東区清住1丁目)と日本橋区中洲町(現在の中央区日本橋中洲)にちなんで、公募で決められています。
関東大震災の復興事業で日本の技術の粋を集めて架けられた橋で、「震災復興の華」とたたえられた名橋です。
じつは、本作は「本所 上之橋」とともに、私がはじめて直接見ることができた巴水の作品でした。
私にとって、なんとも思い出深い作品です。
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