研師の長岡靖昌さんが地元の中学生に日本刀入門講座を行いました。
長岡さんが主催する長岡日本刀研磨所(東京都台東区浅草橋2-15-7)を会場に、鳥蔵柳浅がお願いして中学生に日本刀の見方や扱い方を教える日本刀入門講座を初めて開催しました。
今回参加してくれたのは地元在住の中学一年生女子二人です。
二人はともに「鬼滅の刃」ファンで作品に出てくる日輪刀に興味津々。
博物館などで日本刀を目にする機会はあったもの、実際に触れたことはありません。
まず今回の講座の内容を大まかに見てみましょう。
講座は日本刀の歴史の概要から始まりました。
その後、日本刀の刀装を外して装具を一つ一つ見ていきます。
日本刀への理解が深まったところで、居合用の模造刀を使って刀の抜き方や扱い方を体験しました。
それから、先ほど使った模造刀と真剣を比べるところから日本刀の特徴を見ていきます。
さらに、三本の日本刀(できたばかりのもの、錆びてしまったもの、研ぎ終わったもの)を見比べて、日本刀の研磨や手入れの大切さを知りました。
そして、参加者が興味をもった装具について、実物を見ながらその機能や作り上げる技について教えてもらいます。
最後に、日本刀を使うとどうなるのか質問があり、打ち合った傷のある日本刀を見ながら教えてもらったのでした。
2時間にわたる講座でしたが、長岡さんが実物を使いながら実地体験を交えて 分かり易く説明してくれたので、参加者も大満足な講座となりました。
では、もうすこし具体的に講座の様子を見てみましょう。
まず初めに、長岡さんから簡単に日本刀の歴史の説明がありました。
その概要を見てみます。
日本刀は弥生時代に中国から伝わった青銅の剣を祖先としています。
その後、古墳時代には鉄の刀剣が作られるようになり、平安時代の後期に現在の日本刀が完成したのです。
日本刀は地鉄に鋼を付けて鍛造するのですが、気が遠くなるほど折り返して鍛接する工程を繰り返して作り上げていくのです。
この工程が日本刀独自の強度や切れ味を作り出すのですが、同時に独特の艶や刀文などの美しい模様(景色)を作り出しています。
戦国時代までは武器として作り出されてきた日本刀ですが、江戸時代以降はほとんど使われることもなく、贈答などに使われる美術品となっていきました。
続いて日本刀の種類について実物を見ながら学びます。
太刀と刀の違い、脇差と短刀の違いについて、実際にそれぞれを見比べながら教えてもらいました。
次は、長岡さんが実際に目の前で脇差を分解しながら日本刀の構造について教えてくれます。
私たちがテレビや映画でよく目にする日本刀は、日本刀の本体に使いやすいようにいくつかの装具を取り付けた状態のもの。
まず、刀の柄部分にある竹製の釘(目釘)を抜くと、刀は簡単に分解できるのです!
柄(つか)を外し、切羽(せっぱ)を外して鍔(つば)を取り、鞘(さや)から抜いてハバキ(鎺)を外すと、日本刀本体が現れました。
刀の形をじっくり観察した後、刀に刻まれた銘をじっくり見まて、装具の名称や役割を教えてもらいます。
その中から、鍔を選んで作り上げる技や意匠の意味を考えてみました。
いくつかの鍔を実際に手に取って比べて見ながらデザインを観察したあと、鍔に使われている多様な金属材料や加工技術について長岡さんに解説していただきました。
次回はさらに、日本刀とは何か?を体験を通じて学んでいきます。
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