浅草寺境内で開かれる歳の市、羽子板市の光景は、年末の風物詩として今や東京を代表する景観にまでなっています。(「羽子板市に行ってみました」参照)
ところで、歳の市にあって最も江戸時代の雰囲気に近いといわれる市があるのをご存じでしょうか?
それが「ガサ市」
業者向けの市なので、一般客には縁遠い存在、近づくことすらはばかられるイベントと言われてきました。
そこで今回、この謎の多い「ガサ市」に行ってみましたので、そのレポートをお届けします。
【浅草羽子板市 目次】 その1:羽子板市の歴史(前編) / その2:羽子板市の歴史(中編) / その3:羽子板市の歴史(後編) / その4:羽子板ってなに?(前編) / その5:羽子板ってなに?(後編) / その6:羽子板市に行ってみました① / その7:羽子板市に行ってみました② / その8:ガサ市に行ってみました
曇天の12月17日、浅草寺境内は羽子板市が始まり華やかな雰囲気に包まれていました。
賑わう本堂の裏手、駐車場の北側の浅草病院寄りに、ユニットハウスが立ち並ぶ一角があります。
この一角こそが浅草のガサ市です。
ユニットハウスには階段や廊下、庇などの付属物さえない実務一辺倒で、訪れる観光客も見られません。
お話を聞くべく、勇気を出して声をかけてみました。
一人目は なかなかの強面の男性。
ひと言、「駄目だから。」
同じく二人目、「しない。」
すっかり心が折れそうになった三人目で、ようやく取材のOKがもらえました。
ここからは、断片的に分かったことを私なりにつなげて、再構成してご報告します。
ガサ市は、正月飾りを作って売る方々に材料を卸売る問屋が集まった市です。
市に参加する業者さんは、関東一円から集まっていて、買いにくるお客さんは東京の各地から来られるそうです。
お話を聞く間にも、バンで横付けして荷物を満載し 去っていく業者さんがおられました。
業者間の商売ですので、極端に言えば一般客は来ても全く迷惑な存在なのです。
市に参加する業者さんは、ガサ市の最初に正月飾りのパーツをまとめて搬入し、注文に応じてお客ごとに商品をまとめて引き渡す、というやり方をとっています。
長年の付き合いで、どのお客がどんなものを、どれだけ買うか、だいたい決まっているとのこと。
また、電話やメールで先に注文するお客が多いので、来店前に商品をまとめておくのだそうです。
商品在庫の多いユニット二階建ての業者さんは、上階に比較的大きくて軽く運びやすいもの、例えば大きなしめ縄を収納します。
いっぽう、下階には重かったり運びにくかったりするもの、例えば裏白や松の枝を種類ごとにまとめて収納するそうです。
上階に荷物を上げ下ろしするのは脚立を使うので、階段は不要とのことでした。
最近では正月飾りを飾らない家も多くなってきましたので、なかなか大変なのでは?と推察、そのあたりを訪ねてみると。
やはり近年は売り上げが落ち込んでいるとのことです。
全く場違いな私に説明してくださったことを深く感謝するとともに、自分の物見高さを少しだけ反省するのでした。
【浅草羽子板市】 その1:羽子板市の歴史(前編) / その2:羽子板市の歴史(中編) / その3:羽子板市の歴史(後編) / その4:羽根突きしたことありますか? / その5:飾り羽子板ってどう使うの? / その6:羽子板市に行ってみました① / その7:羽子板市に行ってみました② / その8:ガサ市に行ってみました
ガサ市今年で最後らしい、残念です。
イケダ様
ご連絡ありがとうございました。
ガサ市がなくなるとは、衝撃です。
独特の風情があったので、私もとても残念、今年行けなかったのが悔やまれます。
教えてくださり、ありがとうござました。
トコトコ鳥蔵