東京に夏の到来を告げる風物詩、「浅草ほおずき市」、鮮やかな鬼灯がいかにも夏が来た!って感じさせてくれます。
ところで、なぜほおずきなのでしょうか?
そして、どうして浅草なのでしょうか?
よく考えてみると、知っているようで知らないこと、不思議なことが次々と出てくるではありませんか!
そこで今回は、地域の魅力をご紹介する鳥蔵柳浅が、前回に続いて少し足を延ばし、浅草寺のほおずき市の歴史と由来をご紹介します。
「ほおずきを鵜呑みにすれば、大人は癪を切り子は虫気を去る」(ほおずきのみを丸のみしたら、大人は治りにくい持病が良くなり、子供は腹痛などがなくなる)という古くからの民間信仰がもともとのベースにあるようです。
そして江戸の町に、暑さと湿気で体調を崩しやすい夏にはほおずきを飾っておくと無事に夏を越せる、という先の民間信仰から一歩進んだようなおまじないが出てきます。
江戸の町に突如現れたこのおまじないですが、どこか江戸っ子の気質に合ったのでしょう。
これがあっという間に広がりまして、ついには江戸では愛宕神社で初夏にほおずきを売る市が立つまでになりました。
前回にお話ししたとおり、四万六千日の功徳日に群衆が押し掛ける浅草寺にも、ほどなくほおずき市が立つようになりました。
これが浅草ほおずき市の由来です。
沢山の人が押し掛ける宵になったほおずき市、これはいい商売になるというので大勢の商売人たちがいろんなものを工夫して売るようになっていくのは自然の流れ。
その一つが赤とおもろこし、これが雷除けになると売り出したのです。
夏は夕立にゲリラ雷雨と落雷の多い季節です、落雷は火災に繋がる危険極まりないもの。
雷避けとは目のつけどころが良かったようで、たちまち大評判になりました。
浅草寺にお参りして四万六千日の功徳をいただき、ほおずきを買って夏越しのおまじないをし、赤とうもろこしを買って雷を除ける。
何とも欲張りですが、これも庶民の切実な願いから、浅草の観音様のご利益の一つと大切にされるようになります。
いかにもせっかちで欲張りの江戸っ子らしいところと感心するしだいです。
ところが、明治の初めに凶作で赤とうもろこしが全く取れない年が続いてしまいました。
雷が怖い参詣客、なんとか雷除けけをと浅草寺に頼むこと余多となります。
そこで浅草寺、竹串に挟んだ三角の護符を授与するようになりました。
これが浅草寺の雷除札の由来です。
夏を無事に過ごすための準備に訪れる浅草寺ほおずき市は、こうして江戸っ子の初夏の楽しみとなったのでした。
みなさんも江戸の風情を残す浅草寺ほおずき市に行ってみませんか?
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