謎が謎を呼ぶ不思議な橋 鎧橋(よろいばし)①

私は主夫で、いつも家事と育児に翻弄されています。

そのわずかな隙間を見つけては橋を見ることをなによりの楽しみ。

でも橋を見る、といっても橋梁工学はチンプンカンプンなので、ただじろじろ見て満足しているだけの橋マニアなのです。

鎧橋から東京証券取引所を眺めた画像。
【鎧橋から東京証券取引所を眺めた光景】

今回取り上げるのは、日本橋川に架かる鎧橋。

鎧とはえらく いかつい名前ですし、しかも場所が東京証券取引所前、周りは兜町ですから、なんだかものすごいオーラを感じます。

その橋を、「ははん、この橋は高度成長期のニオイがプンプンするぞ!」なぞとなめてかかった私は、この橋から思わぬしっぺ返しを食らうことになりました。

今回は外見だけで相手を侮ってはならない、という当たり前のことを私に教えてくれた鎧橋のお話しです。

話しは変わって、子供はズンズン大きくなります。

大きくなると、すぐに身につけるものが相対的に小さくなっていくので、パンツやらシャツやら、服やら靴やら、帽子から傘まで、身の周りのほぼ全てのものがすぐに小さくなって使えなくなるのは当然の話。

くわえて、うちの子も無印良品の洗練されたカワイイ子供服を着ればかわいらしい「無印子供」になるかも、という野望を抱いていましたので、チャンスがあれば有楽町の無印良品まで自転車を走らせていたのです。

何度か通ううちに、行きが鎧橋、帰りが西河岸橋で一服するという有楽町への往復ルートが定まってきました。

鎧橋の画像。
【鎧橋】

10年ほど前の梅雨の晴れ間、いつものように鎧橋に着いた私は、橋の袂に自転車を止めて橋の中ほどに出ました。

頭上が高速道路の高架なので雨が当たらないのはうれしいところだけれども、川面を渡る風が陰気な感じがして、どうにもさっぱりしません。

それでも橋の向こうに見える東京証券取引所や兜町の街並みを眺めていると、地方出身の私には、自分も日本の中心に立っている、と いかにもお上りさん的な喜びに浸るのでした。

そして買い物するものを確認した後、川を渡る湿っぽい空気を深く吸った後、ゆっくりとタバコを取り出して火をつけて、この橋もなかなか高度成長期の近未来感を出してて渋いんじゃない、などと偉そうに思っていたのです。

くるりと体を返して川面を見渡して、やっぱり川には屋根は似合わんなぁ、などと独言していた私の目に、思わぬものが飛び込んできました。

なんだ、これは!

驚きのあまりくわえていたタバコを川に落としてしまったのです。

鎧橋の橋台と石垣の画像。
【鎧橋の橋台と石垣】

私を大いに驚かせたのは、この橋のレンガ積の橋台と、その周りの石垣でした。

石垣は作風から見て幕末明治のもの、レンガ積は切り石を併用したところから明治のものらしく見えます。

橋脚を含めてこの橋の制作年代はどう見ても戦後。

この橋に似合わぬ あまりにも古風で立派な橋台と石垣に、私は動揺を隠せなかったのです。

また、橋台とその周りの石垣の年代が合わぬことも気になるところ。

よく見ると、兜町側上流の石垣は、さらに古風な江戸時代の護岸石垣にかぶさる形で造られています。

これは一体どうゆうことなのでしょうか?

次回からはこの謎に迫っていきたいと思います。

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