前回、木場公園についてみてきました。
今回は、木場公園のシンボル、木場公園大橋についてみてみましょう。
木場公園大橋
木場公園は26.2haをはかる広大な公園です。
このため、公園のまん中付近を葛西橋通りと仙台堀川が横切って、公園を南北に分断する形となっています。
そこで、この南北の公園をつないでかけられたのが木場公園大橋です。
橋の規模は、長さは152.45m+35.0m、幅が10.0m~25.0m、支間150.45m+32.95m、主径間96.25m、主塔は高さ60m(地上から64m)。
橋の幅が非常に広いので、橋を渡っていても公園の一部としか思えません。
橋の構造は、プレストレストコンクリートの斜張橋を主としてPC箱桁橋がこれに取り付く形です。
ちなみに、プレストレストコンクリート斜張橋の構造をとる橋としては、東京都で最大の橋となっています。
平成4年に開通した歩行者専用橋で、落下防止対策にも当時最新の土木技術が投入されました。
じつは、この橋の最大の特色は、素材の選定を含めた景観上のデザイン処理にあったといいます。
つまり、新たにつくられる巨大な橋が、木場公園の景観と調和する必要があったのです。
そこで、美観上にすぐれた斜張橋を導入し、さらにデザインを工夫した結果、繊細かつダイナミックな造形となりました。
さらに、特徴あるこの橋が、周囲の環境と調和して美しい景観を作り出したのです。
新技術の導入
じつは、この橋を建造するにあたって、いくつかの最新技術が導入されました。
そのうちの一つは、コンクリート施工時のものです。
コンクリートを施工するとき、型枠の隅まで均等に行き渡るように、バイブレーターと言う振動棒でかき混ぜるのが一般的となっています。
これに対してこの橋では、バイブレーターを用いなくても均等に行き渡る新型の流動化(自己充填)コンクリートが初めて土木建造物に使用されたのです。
さらにまた、型枠についても新しい技術が投入されています。
それは、ガラス繊維の入った特殊な型枠、プレキャスト型枠を用いて、コンクリートが固まった後でも取り外さずに、そのまま主塔の化粧材としても兼用するという画期的なものでした。
明石海峡大橋建造への道
じつは、これらの新技術を木場公園大橋の建築に導入したのには訳がありました。
それは、兵庫県の明石海峡を渡す全長3.9㎞という当時世界最大のつり橋を建造するにあたって、どうしてもいくつかの技術を確立する必要があったのです。
その技術が流動化コンクリートの導入と、プレキャスト型枠でした。
これらの技術が木場公園大橋で初めて導入されたことで、後に明石海峡大橋の建設に採用されることになったのです。
もし、これらの技術がなければ、世界最大の橋である明石海峡大橋の建設は、難しかったといわれています。
こうして、この橋の建設に導入された数々の新しい技術が高く評価されて、木場公園大橋は平成4年度(1992)に土木学会で最高の栄誉である土木学会田中賞を受賞しました。
木場公園大橋は、日本の橋梁土木史上、重要な位置を占める名橋なのです。
ここまで木場公園のシンボル、木場公園大橋についてみてきました。
次回は、現在は木場公園の一角となっている新宮水野家深川三好町邸についてみてみましょう。
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