「江戸ものづくり列伝」に行ってみた①

江戸東京博物館で開催中の「江戸ものづくり列伝」(会期2020年4月5日(土)まで)に行ってきました。

展覧会入り口の風景の画像。
会場入り口。並ばずには入れました。

観覧日の2020年2月14日(金)は時折雨が降る生暖かい風が吹く日、午前9時30分の開館5分前にゲート前に到着しました。

館内には外国人旅行客を中心に数名のグループでの来館者が居ましたが、みなさん常設展へ向かってので、待っているのは私一人という状態です。

一番乗りでしたが、しばらく見ていると各ケースの前に一人づつくらいの観客というゆっくり見られて居心地もいい込み具合です。

甲冑姿のバルディ伯爵像の画像。
甲冑姿のバルディ伯爵像

入場して正面の今戸焼のかわいい招き猫を見て右に曲がると「第1章 伯爵が愛したニッポン」のコーナーです。

このコーナーの展示品は、かつてのバルディ伯爵のコレクションで日本初公開だそうです。

日本大好きだったバルディ伯爵は、イタリアのパルマ公国国王の次男坊です。日本から国賓として招待されて、世界一周旅行の途中で訪日し、明治天皇と二度にわたって会合しています。

2年間の世界一周旅行のうち8ヶ月が日本という内容で、日本各地で合間を見ては骨董屋に足を運んで1万点を超えるコレクションを爆買いしたそうです。

彼の死後、世界大戦直前に散逸しそうになったのをイタリア政府が接収して、現在はベニス東洋美術館に収蔵されました。

今回はそのうちの35点ほどが来日して展示されています。

第1章展示会場の様子の画像。
第1章展示会場の様子

バルディ伯爵のコレクションは日本刀とその刀装が多いそうですが、今回は大名家の婚礼品を中心に展示されており、会場全体が華やかさに包まれています。

まず最初がバルディ伯爵の肖像2幅、これがインパクト絶大です。

裃姿と甲冑姿の掛け軸は、面白すぎてしばらく見入ってしまいます。

しかしよく見ると、顔部分の書込みが丁寧で細密なのに対して、そのほかは少し型通りになっています。

それもそのはず、この2幅はバルディ伯爵の写真を見て、決まった形の絵にはめ込んだもの。

これが当時、お土産品として絶大な人気を誇ったそうです。

確かに、今でも人気が出そうです。

そして、バルディ伯爵自信がとても気に入っていたそうで、なんだかかわいらしくて おかしくなってきます。

「梨子地藤巴立葵紋散松竹藤文蒔絵行器」の画像。
「梨子地藤巴立葵紋散松竹藤文蒔絵行器」 見事な装飾が施された「ランチボックス」、江戸時代後期の蒔絵技術の粋を集めた優品です。

刀の拵えはすごい手が込んでいるのは分かるのですが、照明が暗すぎて正直良く見えませんでした。

ただ、献上鮫というのが新鮮でビックリです。

刀の柄に鮫皮を使うのは知っていましたが、その優品を献上するときに組紐などで手の込んだ飾りつけをするのには驚きました。

美しさはもちろん、どれだけ手をかけるのか、と信じられない感じです。

婚礼道具の蒔絵作品はどれもすごい!ポスターにもなっている「梨子地藤巴立葵紋散松竹藤文蒔絵行器」は特にすさまじく、光り輝く姿に感動です。

横で見ていたお兄さんが、「でもこれ、ランチボックスだよね。どんだけ盛ってるの!」確かにそうです。

大名家の婚礼道具は、日常使うものを可能な限り限界まで盛りまくるのが流儀です。

政治的な意味合いもあるのでしょうか、技巧の極致でまさに「見せるための道具」です。

「葵文散七宝繋文様蒔絵文箱」の画像。
「葵文散七宝繋文様蒔絵文箱」
どうなってるの?と思うくらいすさまじい技術です。

その中でも、「葵文散七宝繋文様蒔絵文箱」というのは強烈です。

気が遠くなるくらい描き込んで、しかも蓋と身の継ぎ目に全くズレが無い!神業としか言いようがありません。

こんな注文出す大名家もおかしいですが、作る職人もどうかしてます。

職人の技と大名家の美意識の結晶、限りなく美しいものが生まれました。

このコーナー全体として、華麗で精緻さを極めた展示品を見ているとニコニコ喜びながらコレクションを見るバルディ伯爵の顔が浮かんでくるような気がしてきます。

6 件のコメント

  • こんにちは。江戸ものづくり展の投稿拝見しました。府川一則の作品を見たいと思っています。なかなかタイミングが悪くて。情報があれば教えてください。

    • 府川知子様

      ご連絡ありがとうございます。

      ちょっとくどいですが、知っていることを並べてみますね。

      少し見返してみたのですが、初代府川一則の作は「蛟斎北岑」名で刷り物が数点ずつ、大英博物館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館のそれぞれの公式Webサイトに上がっていました。
      コレクションサーチに「Hokushin」で探してみてください。
      また、ボストン博物館収蔵品は、ウィキペデアの「蛟斎北岑」項にリンクが貼られていましたので、こちらから見ることもできます。

      それと、以前に「蛟斎北岑」の作品を二度、手に取ってじっくり見る機会がありましたので、こちらもご紹介します。
      一つ目は、二年ほど前の新橋「大刀剣市」で、鍔を拝見する機会がありました。
      非常に精巧な作りに感心した記憶があります。
      価格が三十数万円、欧米の方に大人気だと店主が言っていました。

      もう一回は、知り合いの刀剣店で、目貫を見せてもらいました。
      どうやって作ったのか、その場にいたみなさんと議論した覚えがあります。

      点数は少ないですが、作品を手に取ってみることができる点で、刀装はねらい目かもしれません。

      なにかのお役に立てば幸いです。

      取り急ぎ用件まで。

      最後になりましたが、コロナ禍が続いております、府川様におかれましてはくれぐれもご自愛ください。

        トコトコ鳥蔵 重岡卓

  • ご丁寧にありがとうございました。又お返事が遅くなり申し訳ありません。
    そうなんですね。Hokushinなんですね。
    貴重な情報をありがとうございます。
    実は私は、一則の直系の子孫にあたるのですが、一則の作品は何1つも残っておらず、ですから1点でも手元に置きたいと思っておりまして、一度銀座の長州屋という骨董店のサイトにあったので、行ったのですがすでに売られており実物を見ることもできませんでした。探してみます。ありがとうございました。ただまた教えていただけると嬉しいです。

    • 府川知子様

      御返事ありがとうございます。
      ものすごくうれしかったです。

      日本刀の研師・長岡先生に初代の作品の入手について聞いてみると、こんな返事がもらえました。
      「探せばあると思いますよ老舗刀剣店か刀装具専門店に声をかければ探してくれると思います。だだし予算を多めに用意して、買う前提での話ですね。「府川の子孫で、どうしても欲しい」という熱意があれば動いてくれます」

      初代の作品はどれもすばらしい逸品なだけに高価なので、もしご購入を検討されているのであれば、またご連絡ください。

      私としては、やはり毎年晩秋に開催される「大刀剣市」で一度探してみるのをお勧めします。
      入場料が高いのと、あまりにも日本刀が多い(もちろん熱心なファンも)ので、探すのが大変かもしれませんが、多分出展されていると思います。
      なにより、じっくり手に取って見れるし、買わなくてもいいのがありがたいところです。
      私のサイト内に一昨年(去年は中止)の観覧記がありますので、よかったらご覧ください。

      では、あらためましてご用件のみにて。
      まだまだコロナ禍が続いております、くれぐれもご自愛ください。
        トコトコ鳥蔵 重岡卓

  • お返事ありがとうございます。
    あれからHokushinについて検索してみました。ボストン美術館に浮世絵があり、初めて見ました。大英博物館とメトロポリタン美術館の作品は見れませんでした。
    府川家(父は次男)からは一則は北斎の弟子だった、とか大正天皇結婚の儀で金屏風を献上した。。。ぐらいのことしか聞かされていませんでしたので、Hokushinの作品を見て涙が出てしまいました。初代は高祖父の父親にあたります。彫金師とばかり思っていました。
    正直、作品は2代目でも3代目でもいいのですが。そうですね、秋の刀剣祭に行きます。
    また可能であれば重岡さまにもお会いさせていただきたいと思います。
    また違う話ですが、2代目の孫の道徳は画家になり二科展にも入賞しているのですが、何かご存知でしょうか。いろいろ聞いてばかりで恐縮です。府川

  • PS メトロポリタン美術館の作品は確認できました。
    一則の作品はいくらぐらいするものでしょうか?100万円位でしょうか?ものによって違うでしょうが。。。

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