長岡日本刀研磨所で、休眠していた日本刀を見てもらいました。

長岡日本刀研磨所(東京都台東区浅草橋2-15-7)で、休眠していた日本刀を見てもらいました。

長岡日本刀研磨所の外観画像。
(長岡日本刀研磨所)

地域にお住まいの方から、会社の倉庫を整理していると、なんと日本刀が三振出てきた!どうしたらいいの?との相談を受けました。

そこで、出てきた刀がどういうものかを研師の長岡靖昌先生に見てもらうようお願いをしたところ、先生から快諾をいただきました。長岡先生は、中学生日本刀入門講座などでもご協力いただいています。

さっそく二人で、その日本刀三振を持って長岡先生を訪問しました。今回は、その様子をみなさんにお伝えします。

長岡先生に見てもらった刀の画像。
(今回、長岡先生に見てもらった刀)

この刀、ずいぶん前、おそらく40年ほど前に、債権回収の際に友人の会社に渡り、そのまま倉庫にしまいっぱなしになっていたそうです。ですので、まずは本物かどうか、から見てもらいました。

私たちを にこやかに迎えてくださった長岡先生、まずは入手の経緯などを話しました。

そして、紙で二重にくるまれた包みを開けます。すると、だいぶくたびれた絹の袋が出てきました。その中には白木の鞘、柄に登録証が留められています。

先生は、刀に軽く一礼したあと鯉口を切るって、ゆっくり刀を抜いていきます。そして刀身をしばらく眺められた後、いろいろな角度から刃の状態を確認しました。それから目釘を外して銘を見た後、再び刀をじっくりと見ていきます。

次は脇差、そしてもう一本の刀と、同じように順にじっくりと観察します。

時間にしてわずか15分ほどしたところで、先生から声がかかりました。

結果は三本とも真剣でした。

それから、それぞれの刀について、刀の銘、状態、刃や切先の状態など、とても丁寧で分かりやすく説明してくださいます。

三本が作られたのはいずれも室町時代の14世紀後半~15世紀後半。

長い期間放っておかれたとは思えないほど保存状態が良好で、これには長岡先生も驚きを隠せない様子です。これは、木造瓦葺きで土壁の日本家屋の中に、特に梱包などせずに置いていたのが逆に良かったようです。

というのも、これが、現代のマンションなどの機密性の高い建築物の中だと、湿気がこもったりしてすぐにサビついてしまうそうです。また、大切なものだからと厳重に梱包して保存した場合も湿気がこもってサビのもとになることが多いそうです。

あと、刀身の保存のために油をひくのですが、これも長年放置して劣化すると、カビなどのもとになり刀身を痛めてしまうのだとか。この刀は、偶然にもなにもせずに放っておかれたのが理想に近い環境だった、というものすごく幸運だったのです。

また、今回の刀は、鞘に直接登録証を張り付けていたので、間違うことがありません。しかし、刀と登録証を分けて保存することで、取違いや登録証の紛失につながることが多くあるそうです。

刀についての説明の後は、この刀の今後についての相談にものってくれました。

それから、最後には日本の伝統文化について話し合います。

日本刀をはじめ、この町に残る伝統的なものを残しつつ、上手に活用して次世代に残すにはどうすればよいか、といったことについて意見交換してお互いの見識を深めることが出来ました。

約一時間にわたって長岡先生がわかりやすく説明してくれたおかげで、友人も不安が解消されたようで、大いに満足して帰路に就いたのでした。

工房内の日本刀を使って刀の魅力を教えてくれる長岡先生の画像。
《長岡先生はわかりやすく、丁寧に日本刀のことを教えてくれます》

長岡日本刀研磨所では、日本刀についての相談に乗ってくれます。

ただし、事前に日時や相談内容を電話やメールなどで伝えて日取りを決める必要があります。

日本刀が欲しい方、お手入れや扱いに困っている方など、ぜひ長岡先生に相談してください。

鳥蔵柳浅までご連絡いただいても長岡先生との調整をさせていただきますので、こちらも気軽にお声掛けください。

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