【ひな祭りの話】:①ひな祭りとは? / ②ひな祭り源流、上巳の節供とは? / ③もう一つのひな祭りの源流、ひひな遊びとは? / ④ひな祭りの誕生 / ⑤現代のひな祭り / ⑥雛流しと流しびな / ⑦雛市と江戸のひな人形とは?
ひな祭りといえば、おひな様。
家庭で大切に飾ることもあれば、地域によっては今でも「雛流し」といって川におひな様を流すこともあります。
突然ですが、クイズです。
なぜ、おひな様を流したりするのでしょうか?
①お雛様に冒険をさせたいから
②川の先に異国の楽園があるから
③お雛様に悪いものがついているから
答えは③です。
実は、私たちがイメージする雅やかな「おひな様」は始まりからこの姿だったのではありません。
どんな由来がひな祭りの中に隠れているのでしょう?
では、ひな祭りの歴史を見ていってみましょう。
3月3日を雛祭・雛節供・桃の節供・上巳(じょうし)の節供などと呼んできました。
これは、3月3日にひな人形を飾り、蓬の菱餅や桃の花、雛あられを供えて白酒で女児の健やかな成長を祝う風習です。
ひな祭は五月節供に対する女子の祭とされ、女の子の初節供や新嫁にひな人形を贈る風習も一部で残っています。
しかし、ひな祭りの祖先である「上巳の節供」行事と「ひな祭」は本来全く別の物でした。
この二つが次第に混ざり合って現在のひな祭りが出来上がったのです。
また、「山見(やまみ)」と呼ばれる日本古来の風習があったことも見逃せません。
それでは、ひな祭りのもととなった「山見」と「上巳の節供」行事、「ひな祭」を順番に見ていきましょう。
まず、日本の伝統的な風習の「山見」です。
3月は農事開始前という重要な季節です。
農作業開始に先駆けて山から田の神を迎える山籠りや磯での禊ぎなど、春を迎える儀礼をおこなう風習がありました。
そこで3月初めには仕事を休み、身を慎み不浄を避ける「物忌み」や、けがれを払い清める祓(はらえ)を行ってこれからの農事に先駆ける神祭の日としてきました。
山見・花見など地方によって呼び名は異なりますが、春先に山や磯辺で人々が集まって一緒にお酒や食事を楽しむ風習が今も広く残っています。
その代表が、オヒナガエ、コドモノハナミなどと呼ばれる、埼玉県・静岡県・千葉県などの風習です。
この行事では、子供が川原や畠の隅に集まり煮炊きをして一緒に食事をします。
このように、山見や花見、磯遊びという、農作業に先駆けて春を迎えるために行われた民族儀礼が広く行われていました。
その名残が、現在では行楽行事と変化した山・磯遊びの習慣とともに、ひな人形へ供物として桃の花や蛤などの海産物を供えるという事実に、かすかですがその姿をとどめています。
つづいては、中国から伝来した上巳の節供についてみてみましょう。
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