地域の隠れた魅力をご紹介する鳥蔵柳浅。今回は鳥越神社〔東京都台東区鳥越2- 2-4-1 〕の箸まつりをご紹介します。
箸まつりとはどんなお祭り?
毎日使っている箸に感謝しましょう、という日です。
ちなみに8月4日は箸の日、これは8(ハ)4(シ)の語呂合わせから、わりばし組合が「箸を正しく使おう」と昭和50年(1975)に制定したそうです。
ほかにも、11月11日はアジア各国共同で制定した「箸の日」というのもあります。
この「箸の日」は広く定着し、現在では全国各地で箸供養が行われるようになりました。
ここ鳥越神社でも、東京プラスチック家庭用品卸組合が中心になって箸供養を行う箸まつりが開催されています。
箸まつりではどんなことをするのでしょうか?
箸まつりでは、全国から使い終わった箸が納められて供養されます。
具体的には、神職が境内に設けられた臨時の焚き上げ場に供養する箸を積み上げて、お祓いをした後に火をつけて燃やすのです。
ただ、プラスチックや塗り箸は、環境的問題もあって燃やすことはせず、三方に載せて本殿に運び、改めてお祓いして供養しているそうです。
ですので、近年は焚き上げるのは飲食店などで使用した割り箸が大半となっています。
供養が終わると、新しい箸が参詣者に配られます。
これは、供養した古い箸に変わって この新しい箸を使うという意味だそうです。
2019年は桑の木の短か目の箸、鉄木の箸、輪島塗の黒地に金で神社の紋と神社名が入った立派な箸の三膳が頂けました。
2020年は、南天の夫婦箸でした。
見事な彫刻が施された美しい箸です。
2019年の箸まつりは35度、2020年は32度を超える猛暑の中で例年お祭りが行われています。
厳しい暑さのため、毎年参加者は多くはありませんが、参列されたみなさん使い終わった箸に深く感謝しておられました。
どうして供養するの?
身の回りのものに感謝して供養するのは日本独特の風習です。
人形、ぬいぐるみ、包丁、最近では携帯電話など、多くのものの供養が行われています。
古来から日本ではすべてのものに神が宿るという「八百万神(やおよろずのかみ)」という考え方がありました。
なかでも、特に長く使ったものを粗末に扱うと「付喪神(つくもかみ)」となって祟りをなすと畏れられてきたのです。
ですから、長く使ったものに深い感謝の心を込めて供養する風習が現在でも広く見られるのです。
割り箸の歴史
箸は中国から伝わったとされ、古代より祭事などで使われてきました。
中世以降、庶民も箸を使うようになっていきます。
江戸時代に入ると使い捨て出来る割り箸が発明され、どこでも気軽に使える食事の用具として日本文化になくてはならないものになりました。
そして現在、和食の広がりとともに世界各地で割り箸の使用量が増えているそうです。
間伐材を使ったり、リサイクルを行うのなどすることで、環境持続性において優れていると国際的に評価が高まっているとも耳にしました。
箸まつりをきっかけに、みなさんも鳥越神社で身近なものへの感謝の気持ちを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
鳥越神社では、1月の初詣と仕事始めから始まりどんと焼き、2月の豆まき、6月の鳥越祭と茅の輪くぐり、7月の水上祭、8月の箸まつり、11月の七五三参りと、一年を通して様々な神事が行われています。
みなさんもぜひ、鳥越神社の神事に参加して日本の伝統文化に触れてみてはいかがでしょうか。
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