前回は西原一甫と柳川藩鳥越中屋敷についてみてきました。
ところで、いま休憩している小島公園の横に立つ建物、気になりませんか?
そこで今回は、この建物についてみてみましょう。
旧小島小学校
モダンなデザインと、なにより丸い望楼が立つ建物、現在は台東デザイナーズビレッジとして使われていますが、これはかつての小島小学校校舎で、震災復興建築です。
小島小学校は明治41年(1908)につくられた小学校です。
関東大震災で被災し、昭和3年(1928)8月に現存校舎が建てられました。
そして平生15年(2003)に精華・済美小学校と合併して蔵前小学校が誕生すると、廃校となっています。
ちなみに、台東デザイナーズビレッジとは、2004年4月に旧小島小学校の校舎を利用して台東区が設立したファッションデザイン関連創業支援施設です。
この施設は、ファッションや雑貨、デザイン関連のビジネス分野で企業を目指すデザイナーやクリエイターを支援することを目的に設立されました。
ここから多くのデザイナーやクリエイターが巣立って、ものづくりの町として人気を集める「かちくら」(御徒町から蔵前のこと)の中核施設となっています。(台東デザイナーズビレッジWebサイト)
![小島尋常小学校『浅草区誌 下巻』浅草区 編(文会堂書店、大正3年)国立国会図書館デジタルコレクション の画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/小島尋常小学校『浅草区誌 下巻』浅草区-編(文会堂書店、大正3年)国立国会図書館デジタルコレクション-3.jpg)
![東京市小島尋常小学校(『東京市教育施設復興図集』東京市 編(勝田書店、1932)国立国会図書館デジタルコレクション)の画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/東京市小島尋常小学校『東京市教育施設復興図集』東京市-編(勝田書店、1932)国立国会図書館デジタルコレクション-3.jpg)
![東京市小島尋常小学校配置図(『東京市教育施設復興図集』東京市 編(勝田書店、1932)国立国会図書館デジタルコレクション )の画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/東京市小島尋常小学校配置図『東京市教育施設復興図集』東京市-編(勝田書店、1932)国立国会図書館デジタルコレクション-3.jpg)
![小島公園からみた旧小島小学校の画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/小島公園からみた旧小島小学校.jpg)
正門跡
それでは散策に戻りましょう。
小島公園の東端から道へ出て、そのまま南に下ります。
「東都浅草絵図」によると、嘉永6年には柳川藩鳥越中屋敷の表門は敷地の東面にありますので、このあたりが正門跡、残念ながら遺構は見当たりません。
この道を西に進むと250mほどで名高き三味線堀と佐竹藩邸に行くことができます。
中屋敷跡を歩いても、とくに歴史を感じさせるものも見当たりませんが、道沿いのそこここに植栽が置かれているのが江戸の風情を感じさせてくれます。
![中屋敷西端と正門跡を北西から望んだ画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/中屋敷西端、北西から.jpg)
小島の石仏
小島公園を東口から出て旧小島小学校に沿って北に行くと、丁字路に行き当たります。
ここを左に曲がると旧小島小学校の北端ですが、右に曲がると、江戸後期作かと思われる石仏が数体、大切にまつられているのがわかります。
これはおそらく、藩邸があったころからのものなのでしょう、少しほほえましく思えました。
【小島石仏】
このまま折り返して旧小島小学校の北端を通り、その角のある交差点を北に曲がると、すぐに春日通りに出てきます。
ようやく都営大江戸線新御徒町駅A4口に到着です。
ちょっと寄り道
このまま西へ200mほど進むと柳川藩上屋敷・立花伯爵家下谷邸跡に至ります。
また、このあたりは「かちくら」とよばれるものづくりの盛んな場所ですし、スタート地点近くは「日本のブルックリン」とも呼ばれる場所です。
もし余裕があれば、おしゃれな雑貨店やカフェをのぞいてみるのも楽しいかもしれません。
![柳川藩中屋敷跡付近、令和1年撮影空中写真(国土地理院Webサイトより、CKT20191-C27-52〔部分〕)の画像。](https://tokotokotorikura.com/wp-content/uploads/2021/12/柳川藩中屋敷跡付近、令和1年撮影空中写真(国土地理院Webサイトより、CKT20191-C27-52〔部分〕)-2.jpg)
この文章を作成するにあたって、以下の文献を引用・参考にしました。
また、文中では敬称を略させていただいております。
引用文献など:
『角川日本地名大辞典 13東京都』「角川日本地名大辞典」編纂委員会・竹内理三編(角川書店、1978)
「柳河藩」半田隆夫『三百藩主人名辞典』第四巻、藩主人名辞典編纂委員会 編(新人物往来社、1986.10)
「柳河藩」半田隆夫『三百藩家臣人名辞典』第7巻、家臣人名辞典編纂委員会 編(新人物往来社、1989.10)
『江戸幕藩大名家事典』中巻、小川恭一 編(原書房、1992.3.7)
台東デザイナーズビレッジWebサイト
次回は、柳川藩浅草末下屋敷跡を歩きましょう。
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