前回、かつての江戸城内を延々歩いてようやく大嘗宮にたどり着きました。
今回は、この大嘗宮について見聞きしたことを記してみたいと思います。
【大嘗宮見物記 目次】その1:はるかなる大嘗宮への道 ・ その2:驚きの連続、大嘗宮 ・ その3:名残惜しい大嘗宮
大嘗宮は、天皇陛下御即位にともなう大嘗祭を執り行うための施設です。
巨大な宮は初めて見る不思議な光景で現実感が乏しく、疑問ばかりが浮かんできます。
ふと見ると、参観者が集まって警備関係者を質問攻めにしているではありませんか!
あれやこれや聞きたい気持ちも分かりますが、ここは困り顔の警備関係者の説明を、耳を大きくして聞くことにしました。
以下での宮の説明は、その受け売りです。
大嘗宮は、大嘗祭の行われる悠紀殿(西側)と主基殿(東側)を中心に19棟の建物と、中心部分の建物をつなぐ廊下の計23棟で構成されています。
これらの建物は12月から解体され、一部施設は転用されて再利用されることになっているのです。
私は、塀に囲まれた中央の施設はすべて板壁・板葺きなのに対して、周辺施設はテントなのに驚きました。
さらに、テントの壁面には、丁寧に木の枝が結ばれていているのが何だか面白いのです。
現在は枯れていますが、儀式が行われた11月14・15日には青々としていたに違いなく、きっと神秘的な雰囲気だったのでしょう。
また、宮前面の簡易舗装がぶわぶわして柔らかかったのですが、儀礼時には参列者が着席した幄舎という巨大なテントがあったそうです。
儀礼終了後に参観しやすいように撤去したとのことでした。
正面に人だかりができていて、彼らの眼差しの先には不思議な形の鳥居が目に飛び込んできます。
ごつごつした木の皮がついたままの木で作られた鳥居が正面に建てられているのです。
これが神門で「黒木作り」という伝統的な技法を使って、タモの木で作られたものとのこと。
よく見ると東・西・北と中央部分にもあるようで、合わせて五基設けられているのが見て取れます。
さらに、柵の外にある建物をじっくり見てみると、建物の基礎などはなく、穴を掘って直接柱を地面に建てて建築しているのが分かります。
これが考古学のいう「掘立柱建物」なのだと、私は大いに感心したのでした。
残念ながら柵で見ることはできませんが、中心施設も同様の作りだそうですので、大嘗宮は巨大な掘立柱建物群といえるのでしょう。
この光景に、私は飛鳥板蓋宮(大化の改新の発端となった蘇我入鹿暗殺の舞台)をふと思い出すのでした。
ここまで大嘗宮の正面から見たところをお伝えしてきました。
次回は、角度を変えてみた大嘗宮についてお伝えしたいと思います。
【大嘗宮見物記 目次】その1:はるかなる大嘗宮への道 ・ その2:驚きの連続、大嘗宮 ・ その3:名残惜しい大嘗宮
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