素晴らしいデザインの橋 竜閑さくら橋(りゅうかん さくらばし)③

前回では竜閑さくら橋に託された思いを橋の長さから探ってきました。

今回は見方を変えて、この橋のデザインから見てみましょう。

この橋のデザインでわたしが一番驚いたのは、桁の断面形状です。

その形、なんと形容してよいか分かりませんが、かなりつぶれた六角形なのです。

橋の角部分が目立ちにくい、と言い換えてもいいかもしれません。

そのせいか、橋自体も細く見えるように思います。何とも不思議な形、素晴らしいデザインです。

竜閑さくら橋の画像。

断面形状と関係しているのか、桁が薄く感じることも不思議です。

「高欄を地覆外側まで伸ばすことで桁を薄く見えるように工夫した」【土木学会デザイン賞HP】ということですが、確かに桁のへこんだ部分に高欄と側溝が乗っている状態になっていて、角を削ってぴったりはまるよう工夫したのが見て取れます。

また、この橋が架かっている場所自体がなんとも不思議なところだと気づきました。

首都高の支柱を避けて、さらに上下に分離する本線の間を通り抜けるという、針の穴を通すような、ほとんど曲芸とも思えるような絶妙な形になっているのです。

そして、私が思うこの橋の最大の疑問は「なぜここまで手間ひまかけて丹精しているのに自己主張しないのか」ということです。

言い換えると、どうして目立たないのか、とも言えてもよいでしょう。

色が銀鼠と渋いことも、橋のフォルムが少し金属的な感じなのも、きっと狙いがあるにちがいありません。

竜閑さくら橋のエレベーターの画像。

なぜなら、逆にエレベーターがとても目立つように造られているからです。

これって実は、ベビーカー押している人や車いすの人にはとっても大切なのです。

というのも、私もベビーカーを押してエレベーターを探してさまよった経験が何度もあるので、その有難さを実感できるのです。

前回に橋長のことで触れたように、日本橋川に架かる橋は、国家の権威を象徴する日本橋をはじめ、豊海橋や一石橋、鎌倉橋、錦橋、一ツ橋などの復興橋梁、歴史ある鎧橋や神田橋、重要文化財の常磐橋など、個性が強すぎるくらいの橋ばかりです。

次回はこの「目立たない」橋のもつ、「もう一つの顔」に迫ってみたいと思います。

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