今に生きる江戸っ子の気概 両岡健商店 その2

前回見たように、両岡健商店のご家族はいつもにこやかで親切、ほっころ温かい雰囲気に包まれるお店です。

ご主人は町会長をされていますし、何かと地域の力になってくれる頼りになる存在なのです。

中でもおかみさんには、ちょっと個人的な思い入れがあるのでそのお話を。

2009年暮れも押し詰まった12月30日の午後5時、柳橋2丁目の倉庫脇から出火しました。

「両国大火浅草橋 明治十四年一月二十六日大火」『清親画帖』小林清親1878 国立国会図書館デジタルコレクション
【「両国大火浅草橋 明治十四年一月二十六日大火」『清親画帖』小林清親1878 国立国会図書館デジタルコレクション】

花火屋や人形屋にも火の手が及び、次の日になってようやく鎮火したものの、計10棟、焼失面積延べ約1,000平米、町の1ブロックがすべて燃えてしまう大火となったのです。

そして老舗の多い一角を失った衝撃は、町全体に暗い影を落としていきました。

「両国焼跡 明治十四年一月十六日大火」『清親画帖』小林清親1878 国立国会図書館デジタルコレクション
【「両国焼跡 明治十四年一月十六日大火」『清親画帖』小林清親1878 国立国会図書館デジタルコレクション】

そんな中、いち早く店舗を再建したのが両岡健商店さんでした。

大火の翌年だったと思います。

おかみさんが幼稚園の行事の折に、火災と復興について冗談を交えて笑顔で話すのに接しました。

私はかつて読んだ、シドモアなどの外国人が記した、火災にあってもへこたれることなく、いち早く復興に立ち上がる江戸っ子たちを思い出したのです。

災害に負けず笑顔で立ち向かう江戸っ子の姿に、おかみさんが重なって見えたのです。

「江戸っ子の伝統は生きている」

そう感じた私は、この町が大好きになり始めたのでした。

両岡健商店の前を若い女4人と若い男2人が通る画像
【再建された両岡健商店の前は、たくさんの人が通ります。】

専門家たちも通う刃物の専門店、それでいて地域住民が愛してやまない荒物屋さん。

おかみさん、若女将、みんなが素敵な笑顔で迎えてくれる、そんな両岡健商店をみなさんものぞいてみませんか。

店舗情報:両岡健商店〔東京都台東区柳橋2-7-4〕〔http://www.guidenet.jp/shopblog/404m/〕(https://profile.ameba.jp/ameba/morooka-hasami

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