地域の隠れた魅力を紹介する鳥蔵柳浅、今回は鮒佐〔東京都台東区浅草橋2‐1‐9〕(https://funasa.com/)をご紹介します。
鮒佐さんは、文久二年(1862)創業。
当時、佃島で作られていた雑魚煮からヒントを得て、初代大野佐吉がつくだ煮を作り出しました。
雑魚煮は江戸最大級の漁師町であった佃島で、いわゆる雑魚を雑多に塩で味付けして煮たものだそうです。
獲れた魚を無駄にしない保存食だったんですね。
これを、初代が出回り始めた関東産の高級醤油を用いて、海産物などを一種類ごとに煮た「つくだ煮」を開発したのです。
初代はこの新商品を製造販売する店を、浅草寺に詣でる人が多く通る浅草瓦町に構えました。
そしてなんと、その場所は現在のお店のある場所のと同じところなのです!
明治維新や関東大震災、東京大空襲などあまたの困難を乗り越えてこの場所を守り続けているというからびっくりです。
守っているのはお店の場所だけでなく、佃煮の作り方も変わっていないのだとか。
創業 以来つくだ煮の製法は一子相伝で伝えられて、現在は五代目が伝統の味を守っています。
鮒佐のつくだ煮は、しっかりとした塩味がガツンと着た後に、いろいろな旨味が混じりあった深い味が口いっぱいに広がる個性的な味わい。
はめて食べた時、私は強い塩気にびっくりしたのをよく覚えています。
ところが、慣れてきて自分好みのゴハンと合う分量がつかめてくると、それからはもうヤミツキになっちゃいました。
しっかり煮ているのに、食材の歯ごたえが残るのには他店ではちょっと味わえない触感、これはもう感動ものです。
地元の方は、酒の肴はもちろん、炊き込みご飯やお茶漬けで伝統の味を楽しんでいます。
私のおススメは炊き込みごはん。
鮒佐のつくだ煮のお好みの一種をセットしたゴハンジャーに適量入れて炊くだけ、とてもシンプルで手間いらず!
つくだ煮の塩味が程よくご飯にしみた上に、旨味と香りが全体に広がった炊き込みご飯は、子供たちも大好きです。
江戸時代から変わらない味は、現代の私たちには感動もの。
古典落語の舞台にもなっている歴史的名店「鮒佐」さんは、この町に住む我々の誇りでもあります。
江戸時代から変わらぬ美味を楽しめる幸せを、あなたも体験しませんか。
また、鮒佐のすぐ近くには、扇子と団扇の専門店「松根屋」や、畳の匠の店「金井畳店」など、魅力ある老舗がたくさんあります。
近場散歩で行ってみると楽しいこと間違いなしです!
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