新しい鉄道マニアの聖地 竜閑さくら橋(りゅうかん さくらばし)①

今日明日にでも非常事態宣言が発令されるか、という時のことでした。

新型コロナウィルスの暗い影が街を覆いつくし、人々もうつむき加減です。

私は取材ストックを作るために娘たちのお昼ごはんを朝から用意しておいて、めいっぱい取材に走る予定を立てました。

今日は常磐橋の工事が終わっているか見て、そこからと鎌倉橋、神田橋と日本橋川をさかのぼって、できれば雉子橋まで行けたら・・・と朝から焦り気味です。

JR龍閑架道橋の画像。

JR竜閑ガードをくぐった時、ふと横を見ると真新しい橋が見えました。

「あ、できてたんだ!」工事していたのは知っていたけど、いったいどんな橋なのか、押しまくりの予定も忘れてフラフラと橋に吸い寄せられていきます。

開放感あふれる大きな階段が目に飛び込んできたのでさっそく上ってみました。

「おや、なんか上り心地いいかも、手すりもいい感じ」とか思っていると、階段が途切れて橋の上が目に入ります。

そしてその瞬間、私は思わず立ち止まったのでした。

竜閑さくら橋の神田側階段の画像。

陽光あふれる広々とした橋上に、小さな、ようやく歩き始めたくらいの、おむつでお尻がぽこんとなった子供たち四五人と若い女性たちが、一心に橋の西側を眺めています。

竜閑さくら橋上の子供たちの画像。

一生懸命指さして、女性に何かを訴えている男の子がいます。

あちらには、あまりにうれしいのか、びょこびょこ跳ねている男の子がいます。

手を振っている女の子たちがいます。

大興奮の幼児たちの視線の先を見てみると、そこには幾重にもレールが並んでいるではありませんか!

しばらく呆然とこの光景を眺めていた私は、転がってギャーギャー泣き始めた男の子の声で我に返りました。

あまりの興奮で疲れちゃたんですかね。

そして自分の娘たちが1歳くらいだった時のことを思い出し、思わずニヤケ顔になりながらしばらくこの光景を眺めていたのでした。

竜閑さくら橋から見た電車の画像。

この橋は竜閑さくら橋という人道橋で、橋の西側にはJRの山手線、中央線快速、京浜東北線、常磐線の在来線が四路線と、北陸・上越・東北・山形・秋田・北海道の新幹線を眺めることができる恐るべきスポットなのです。

それぞれの在来線は本数も多く、しかも上下線あるので、ひっきりなしに電車が通っていきます。

しかも、JR外濠橋橋梁を通る電車の通過音が響きわたり、まさに実大の鉄道ジオラマ、これには電車マニアならずとも心躍が踊っちゃうこと間違いなし!

先ほどの子供たちは近くの保育園児だそうで、お天気の良い日にはよくここに電車を見に来るのだそうです。

次々と現れる電車たちに、子供たちはいつも大興奮、みんなこの橋が大好きなのだとか。

竜閑さくら橋から見た東京駅の画像。

橋と現在の人の暮らしが見事に共存する光景に感動を覚えつつ、目を凝らしてこの橋を見てみると、驚くような工夫の数々が見えてきました。

そして、2019年土木学会デザイン賞 奨励賞を受賞したのも、こうした努力が認められたのだと思います。

次回からはこの竜閑さくら橋がどんな橋なのか、もっとよく見てみたいと思います。

3 件のコメント

  • 竜閑さくら橋の記事楽しく拝読させて頂きました。
    同業の方が書いているのかと思うくらいかなり細かく書いて頂いているなと思いました。
    竜閑さくら橋のデザインをした当事者として嬉しい限りです。
    ありがとうございました。

    • コメントありがとうございます!
      竜閑さくら橋をデザインされたのですね!あの橋は本当に素晴らしい橋で、私は大好きになりました。今度、娘たちと再訪する計画です。
      もしよろしければ、竜閑さくら橋設計のご苦労など教えていただけるとうれしいです。

  • ありがとうございます。
    設計者冥利に尽きます。
    東京駅方面への視線の抜け、JRと同じくらいの高さというのが設計当初から分かっていたので大切にするとともに、様々なインフラが重なっているところでしたので、主張して余計にごちゃごちゃした空間にしたくないとも思っていましたので、配線や排水管なども極力隠れるように工夫しています。
    一見気にならないのだけれども、よく見ると色々工夫しているというところを目指したと言うか。
    一方で、書いて頂いていますが、夜は周囲が暗くなるので、電車から歩道橋を歩いている人がぼんやり浮かんで見えるように機能照明でありながらも昼間と違った表情を見せられるように配慮しました。
    設計で色々と細かいところまでやったため、施工される方はとても苦労されたと思います。。。

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