東京・台東区小島2丁目、昭和初期の建築です。
この建物の特徴は、純日本建築をベースに、長期間にわたって さまざまな改造がなされている点にあります。
今回は、数度に及ぶ改築の結果、非常にユニークとなったこの建物についてみてみましょう。
この建物、もとはこの地域に多かった出桁造りの住宅でした。
さらによく見ると、桁や長押には太い木材を使い、木組みも見事。
そのうえ、垂木先には銅板を張り、銅製樋の桝に屋号を入れる豪華さです。
なんとも豪勢な建物ですね。
とはいえ、やはりこの建物のチャームポイントは、やはり洋風の玄関でしょう。
この建物は二つの玄関が並ぶ構造のため、1階全面ははすべてが玄関になっています。
洋風は事務所、和風は個人宅の玄関だったのでしょうか。
この不思議な建物は 裏通りにあるうえ、周囲に建築資材が置かれて非常に見つけにくくなっています。
そのせいか、周囲で再開発が進む中でも奇跡的に残ってきました。
昭和の下町風情を残すこの建物が、これからも大切に保全されることを願わずにはおれません。
(2023年4月10日初出)
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